移住を考え始めたけれど、「何から始めればいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、移住を思い立ってから実際に新生活をスタートするまでの具体的なステップを、実践的なアドバイスとともにご紹介します。
STEP 1:移住の目的を明確にする
まず最初に取り組むべきは、「なぜ移住したいのか」を明確にすることです。
単なる憧れではなく、具体的な理由を言語化してみましょう。
- 子育て環境を充実させたい
- 自然豊かな場所で暮らしたい
- 新しいキャリアにチャレンジしたい
- 生活コストを下げたい
- 親の介護のため実家に近い場所へ
目的が明確になると、移住先選びの軸ができます。また、移住後に困難に直面したときも、原点に立ち返ることができます。
家族との話し合いは最重要
移住は人生の大きな決断です。特に家族がいる場合、全員の合意形成が不可欠です。
配偶者や子ども、場合によっては親族とも、時間をかけて話し合いましょう。それぞれが抱く不安や期待を共有し、家族全体のビジョンとして落とし込むことが、移住成功の鍵となります。
STEP 2:情報収集と地域の絞り込み

移住の目的が固まったら、次は具体的な地域の情報収集です。
収集すべき情報のチェックリスト
- 気候:寒暖差、降雪量、台風の頻度など
- 交通アクセス:最寄り駅、空港、高速道路までの距離
- 生活インフラ:スーパー、病院、学校、保育園の有無と距離
- 仕事環境:求人状況、主要産業、起業支援の充実度
- 住宅事情:家賃相場、空き家バンクの活用可能性
- 医療・福祉:総合病院の有無、救急医療体制
- 子育て支援:助成金、保育施設の待機児童状況
- 災害リスク:ハザードマップ、過去の災害履歴
情報収集の際は、自治体の移住ポータルサイトだけでなく、地域のSNSアカウントや地元メディアもチェックすると、リアルな生活感が掴めます。
複数の候補地を比較検討
最初から一つに絞らず、3〜5つの候補地をピックアップして比較しましょう。それぞれの地域の特徴を表にまとめると、客観的に判断しやすくなります。
STEP 3:移住相談窓口を活用する
多くの自治体には、移住相談の専門窓口が設置されています。
相談できる主な場所
- 自治体の移住相談窓口(オンライン対応も増加中)
- 都市部の移住フェア・相談会
- ふるさと回帰支援センター(東京・大阪など)
- 地域おこし協力隊OB・OGとの座談会
相談窓口では、移住支援制度の詳細や、ウェブサイトには載っていない地域の生の情報を得られます。また、移住コーディネーターから、あなたの希望に合った地域を提案してもらえることもあります。
先輩移住者の声を聞く
すでに移住した人の体験談は、何よりも貴重な情報源です。
多くの自治体が移住者インタビューをウェブサイトに掲載しているほか、移住者コミュニティのイベントに参加すれば、直接話を聞くこともできます。
特に、「移住して大変だったこと」「想定外だったこと」といったネガティブな情報こそ、事前に知っておく価値があります。
STEP 4:現地を訪問する

情報収集だけでは得られないのが、「肌で感じる地域の雰囲気」です。
短期訪問のポイント
候補地には必ず足を運びましょう。できれば複数回、季節を変えて訪れるのが理想的です。
- 平日と休日、両方訪れる
- 朝・昼・夜で街の表情の変化を見る
- 地元のスーパーや商店街を歩く
- 公共交通機関を実際に使ってみる
- 地域の飲食店で地元の人と会話する
観光地としての顔だけでなく、「生活する場所」としての視点で見ることが大切です。
お試し居住を活用する
多くの自治体が、数日から数週間の「お試し居住プログラム」を提供しています。
専用の宿泊施設を格安で利用でき、地域の人々との交流イベントや仕事体験がセットになっていることも。本格的な移住の前に、生活をシミュレーションできる絶好の機会です。
リモートワークが可能な方なら、ワーケーションとして滞在しながら地域を知るのも有効な方法です。
STEP 5:仕事と住まいを確保する
移住先が決まったら、生活の基盤となる「仕事」と「住まい」の確保に動きます。
仕事探しの選択肢
現在の仕事を継続する
- リモートワーク制度を活用
- 転勤や異動を申請
移住先で新しい仕事を見つける
- 地方版ハローワークの活用
- 自治体の就職マッチングサービス
- 移住支援金対象の求人を探す
起業・開業する
- 起業支援金や補助金制度の確認
- 地域おこし協力隊の活用(最長3年間の給与保証)
仕事と移住のタイミングは人それぞれです。先に仕事を決めてから住まいを探す方が安心という人もいれば、まず住まいを確保して落ち着いてから仕事を探したいという人もいます。自分の状況に合った順序を選びましょう。
住まい探しのコツ
賃貸から始めるのが無難
いきなり家を購入するのはリスクが高いため、最初は賃貸で様子を見るのがおすすめです。実際に住んでみて、本当にその地域が合うかを確かめてから、購入を検討しても遅くありません。
空き家バンクの活用
多くの自治体が「空き家バンク」を運営しており、格安で借りられる物件や、改修補助金付きの物件が見つかることも。地域によっては、移住者向けの住宅購入補助金制度もあります。
職場や学校への距離を考慮
地方では車が必須の地域も多いため、通勤・通学の距離感は都市部とは異なる基準で考える必要があります。冬季の積雪や路面凍結も考慮に入れましょう。
STEP 6:各種手続きと準備
移住が決まったら、様々な手続きと準備が必要です。
行政手続きチェックリスト
転出前(現住所の自治体)
- 転出届の提出
- 国民健康保険の資格喪失手続き
- 印鑑登録の廃止
転入後(移住先の自治体)
- 転入届の提出(転出後14日以内)
- マイナンバーカードの住所変更
- 国民健康保険の加入手続き
- 印鑑登録
- 子どもの転校手続き
その他の手続き
- 運転免許証の住所変更
- 車両の登録変更(車検証、車庫証明)
- 銀行、クレジットカード、保険等の住所変更
- 郵便物の転送届
- インターネット、電気、ガス、水道の契約変更
- 定期購読サービスの住所変更
手続きの多さに圧倒されるかもしれませんが、一つずつリスト化して進めていけば大丈夫です。
引越しの準備
荷物の整理
移住は、持ち物を見直す絶好の機会です。思い切って断捨離し、本当に必要なものだけを新居に運びましょう。地方の住宅は都市部より広いことが多いですが、だからといって不要なものを持ち込む必要はありません。
引越し業者の選定
長距離移動になる場合、複数の業者から見積もりを取りましょう。繁忙期を避けると費用を抑えられます。また、一部の自治体では引越し費用の補助制度もあるので、事前に確認を。
STEP 7:新生活のスタート
引越しが完了したら、いよいよ移住先での新生活が始まります。
地域に溶け込むために
挨拶回りを忘れずに
引越し当日か翌日には、近隣への挨拶を済ませましょう。都市部では希薄になりがちなご近所付き合いですが、地方では今でも重要です。
簡単な手土産を持参すると好印象です。この第一印象が、その後の地域生活を左右することもあります。
地域活動への参加
町内会や地域の清掃活動、祭りなどのイベントには、できる限り参加しましょう。「よそ者」から「地域の一員」になるための最短ルートです。
最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、少しずつ顔なじみが増えていくことで、生活が格段に豊かになります。
地元のお店を利用する
大型チェーン店だけでなく、個人商店や地元の飲食店も積極的に利用しましょう。店主との会話から、地域の最新情報が得られることも多々あります。
移住後のサポートも活用
多くの自治体が、移住後のフォローアップも実施しています。
- 定期的な面談や相談会
- 移住者交流会
- 困りごと相談窓口
一人で抱え込まず、困ったことがあれば遠慮なく相談しましょう。
まとめ:焦らず、段階的に進めよう
移住は、人生の大きな転機です。
一足飛びに進めるのではなく、一つひとつのステップを丁寧に踏んでいくことが、後悔のない移住につながります。
この記事でご紹介した7つのステップは、あくまで基本的な流れです。あなたの状況に応じて、順序を入れ替えたり、時間をかけるべき部分にじっくり取り組んだりと、柔軟に進めていってください。
最も大切なのは、「移住すること」が目的ではなく、「移住先でどんな生活を実現したいか」というビジョンを持ち続けることです。
新しい土地で、あなたらしい豊かな暮らしを実現できることを願っています。
移住を検討中の方へ:まずは情報収集から
この記事を読んで移住に興味を持たれた方は、まずは気になる地域の移住ポータルサイトをチェックすることから始めてみてください。多くの自治体がオンライン相談も受け付けているので、気軽に相談してみるのもおすすめです。
移住は、新しい人生の章を開く挑戦です。不安もあるかもしれませんが、しっかり準備すれば、きっと素晴らしい未来が待っています。

